Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans
今まで文面から受けた歓びも素直な歓びとはならず、むしろそこから歪みを帯びただけではなかった。固く重い鉄筋がずしりと落ち込んで来たような手のつけようもない異様な気味悪さで乗しかかって来るのだった。
勿論、手紙の終りには、そういうことを勇気を出して正直に書いた自分に対して、気持ちを悪くしてくれぬようにとあったが、それでも矢代は身の沈む思いで寂しかった。これほど希いをかけて自分の愛して来たものが、こんな祈りを毎日していたのであろうか、またそのために身の慎しみを今まで千鶴子が支えつづけて来られたのだと思ってみても、矢代は苦しくなり、そぞろに怖れを感じた。しかし、もう彼はどうしようもなかった。
その日は一日矢代は本が読めなくなった。夕暮になってから彼はランプのホヤを磨きにがかった。油煙で黒く煤けている部分に布を通し、呼吸をガラスにふきかけては拭くのだがその間も、曇りの消えて透明になってゆくホヤに窓際の雪が映って来ると、また彼は千鶴子の誓詞の言葉を思い出した。
「異端者。」
何んとなく矢代はこう呟いて自分を省るのだった。それは「不徳漢」という一種の刻印を、誰からか無理に額に打ち込められたことと同じだった。