Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans
矢代は知人攻めに会っている塩野を待っていても、これではなかなか茶も飲めそうな様子もなくひとり下へ降りていった。出口のところで後から彼に追いついた千鶴子が、
「何んだか時間が半ぱね、夕御飯まで歩きましようか。」と誘った。
矢代は暫く茶を附き合って貰いたいと云って、資生堂の喫茶部へ這入ろうとした。が、千鶴子は今さき這入ったばかりだからどこか別の所をと云ったので、二人は暫く群衆の流れの中に没し南の方へ歩いていった。
「御招待いらっしゃることになりまして。」と千鶴子は訊ねた。
「塩野君は出ろというので、そのつもりでいるんですが、大丈夫ですか。」
「大丈夫って?」
千鶴子はまた別の自分たち二人の結婚のことを考えたらしく訊ね返した。
矢代はそれには黙って答えず歩いていてから、
「今日あそこへ集った老人連、なかなか面白いですね。あれが明治、大正というものの代表者の一部の姿かと思って、僕は非常に面白かったですよ。あれが明治前だと、もう少し違っていたのだということも分って今日は愉しかった。この次は僕らのときだなア。」
と、矢代はこう千鶴子に何げなく云ったものの、もうそれは誰か別人に云うようにひとり呟くようだった。