Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

それに妹の幸子も、いよいよ退院するという通知のあった二日後だった。

「久木さんは面白い人ですよ。世間の人の考えているより、僕はむしろも少し豪い人のように思いましたね。分りにくいのですよ。あの人の豪さは。」

矢代はこう云っても、自分が男爵から享けた親切さを素として、好感を抱いた結果出た言葉だとは思えなかった。男爵の洒脱さの中には深さもあり、あの地位では持ちがたい謙虚さと、真面目さと、情熱とが細かく渦を巻いていたと思った。殊に何より矢代の心を明るくさせたのは、黙ろうとする自分をよく饒舌らせてくれたことだった。

「しかし、僕は困りましたよ。お父さんがむかし、久木さんの会社のお世話になったこと、どうしても云えなくってね。」

「あなた失礼なことしたんじゃないんでしょうね。お父さんそれを一番心配してらっしゃるの。」

「したかもしれないなア。」と矢代は云って笑った。

「お父さんは、耕一郎はときどき生意気なことを云うから、あ奴、また馬鹿なことを云いよったのじゃないかなアって、そうお云いよ。」

「しかし、あの男爵は、僕にぼろを出させて後悔をさせない人ですよ。そういう人はあまりいないですからね。