Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょかんについて

旅館について

山本 周五郎

Lisez 旅館について (りょかんについて) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 912 caractères · 16 écrans

Aozora Bunko

窓をあけると外は緑濃い樹立で、下からは黒谷川の急流のさわやかな音が聞えてくる。私は流れの音を聞き、樹立の緑を眺め、水割りを啜りながら待った。もうすっかり夜が明けているし、三人の同伴者がいつまでも寝ている筈はない。もうあらわれるだろう、と待っていたのである。けれどもかれらは杳として音も沙汰もない、咳をする声さえ聞えない。私はてっきりかれらが寝すごしているのだと思った。

「よし」と私は云った、「おれを一人おっぽりだして、気持よく朝寝坊をしようという、申し合せでもしたんだろう、そうさせておくと思ったらおあいにくさまだぞ」

私はグラスを置いて立ちあがり、廊下へ出ていった。うろ覚えの見当で廊下を曲ってゆくと、ここだと思い当る扉をみつけた。ノックをして扉をあけると、向うに次の扉があり、狭い踏み場にスリッパが二足揃えてあった。一足は私のはいているのと同じスリッパであるが、他の一足は桃色の、明らかに女性用のものとわかり、私はびっくりしてそこからとびだし、扉をそっと閉めた。男女二足のスリッパが揃えてあるとすれば、いずれよしあるカップルにちがいない。とんでもないところへとび込んだものだ、あぶなかったと思い、しんじつの意味でひや汗をかいた。