Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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にほんのでんせつ

日本の伝説

柳田 国男

Lisez 日本の伝説 (にほんのでんせつ) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 931 caractères · 207 écrans

Aozora Bunko

(播磨鑑。兵庫県加古郡加古川町)

しかし魚が片目になった理由には、まだこの他にも色々の話があります。

例えば下野上三川の城趾の濠の魚は、一尾残らず目が一つでありますが、これは慶長二年の五月にこの城が攻め落された時、城主今泉但馬守の美しい姫が、懐剣で目を突いて外堀に身を投げて死んだ。その因縁によって今でもその水にいる魚が片目だというのであります。この「因縁」ということも、昔の人はよくいいましたけれども、どういうことを意味するのか、まだ確にはわれわれにわかりません。(郷土光華号。栃木県河内郡上三川町)

そこでなお多くの因縁の例を挙げて見ると、福島の市の近くの矢野目村の片目清水という池では、鎌倉権五郎景政が戦場で眼を傷つけ、この池に来て傷を洗った。その時血が流れて清水にまじったので、それで池に住む小魚はどれもこれも左の目が潰れている。片目清水の名はそれから出たといいます。(信達一統志。福島県信夫郡余目村南矢野目)

鎌倉権五郎は、八幡太郎義家の家来です。十六の年に奥州の軍に出て、敵の征矢に片方の眼を射られながら、それを抜かぬ前に答の箭を射返して、その敵を討ち取ったという勇猛な武士でありましたが、その眼の傷を洗ったという池があまりに多く、その池の魚がどこでも片目だといっているだけは不思議です。