Classiques japonais avec furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Lisez 日本の諸国物語 (せっしょうせき) de 楠山 正雄 (くすやままさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 75 040 caractères · 158 écrans
やがてその声はだんだん近くなって、つい聞くともなしに、耳にはいってきたのは、こういう歌でした。
鬼六どうした、
橋かけた。
かけたらほうびに、
目玉、早もって来い。
この歌を聞いて、大工はほっとしました。そうして生き返ったように、元気をとりもどして、宿屋に帰って寝ました。
その明くる日、大工がまた川へ出ると、鬼はさっそく出て来て、
「さあ、すぐ、目玉をよこせ。」
といいました。
「まあしばらくお待ちください。どうもこの目をとられては、あしたから大工の商売ができません。かわいそうだとおぼしめして、何かほかのお礼でごかんべん願います。」
こう大工がいうと、鬼はおこって、
「何といういくじのないやつだ。じゃあためしにおれの名を当ててみろ。うまく言い当てたら、かんべんしてやらないものでもない。」
といいました。
そこで大工は、わざとまずでたらめに、
「大江山の酒顛童子。」
というと、鬼はあざ笑って、
「ちがう、ちがう。」
と首を振りました。そこでまたでたらめに、
「愛宕山の茨木童子。」
というと、鬼はよけいおもしろそうに、
「ちがう、ちがう。」
といって笑いました。
それから、まだいくつも、いくつも、でたらめな名をいって、鬼がだんだん飽きて、こわい目玉をむいて、今にも飛びかかって来そうになったとき、大工はありったけの大きな声を張り上げ