Classiques japonais avec furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lisez 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 829 caractères · 25 écrans
思いもかけぬ恐ろしい結果が和地の家族をうちのめしていた、それは伝四郎が帰らなかったのである、死傷者の記名にもその名はなかったし、凱陣した人数のなかにもいない、しかも不幸はそれだけでなく、そのことについて聞くも忌わしい噂がひとの口に伝わっていたのだ。
「二月二十七日の総攻めに城へ踏みこむまでは見た者もある、それからさきは誰にもわからない、まったくゆくえ不明なのだ」番がしらはそう説明した、「城は焼け落ちたので、死躰はずいぶん念いりに捜してみたが、みつからなかった、せめて遺品のはしきれでもあれば、……なんとか討死ということにもできたのだが」
おなじ隊で戦った人たちも同様のことしか云わなかった、そしてもっと堪えがたかったのは、……伝四郎は戦場から逃げたらしいという評判がひろまったことだった。どうしてそんな評判がひろまったのか、どこから出たのか、つきつめてゆくと根拠はなかった、けれどもいちど口の端にのぼった噂はどうしようもない、あまりの意外さ、あまりの口惜しさに、伊緒はあたまが昏乱して考えるちからも失ってしまった。姑のすぎ女は日ねもす部屋の隅でじっと息をころしていたし、郁之助は病床にぎらぎらと眼を光らせていた、そしてときどき血を吐くほどもはげしく咳きこんだ。