Classiques japonais avec furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lisez 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 813 caractères · 302 écrans
仮令性質は冷たくとも、とにもかくにも自分等の手で、各自に鍬を担いで来て、この鉱泉の脈に掘当てたという自慢話などを高瀬にして聞かせた。
「正木さんなどは、まるで百姓のような服装をして、シャベルを担いでは遣って来たものでサ……」
何ぞというと先生の話には、「正木さん、正木さん」が出た。先生は又、あの塾で一緒に仕事をしている大尉が土地から出た軍人だが、既に恩給を受ける身で、読みかつ耕すことに余生を送ろうとして、昔懐しい故郷の城址の側に退いた人であることを話した。
「正木さんでも、私でも――矢張、この鉱泉の株主ということに成ってます」
と先生は流し場の水槽のところへ出て、斑白な髪を濡らしながら話した。
東京から来たばかりの高瀬には、見るもの、聞くもの、新しい印象を受けるという風であった。
二人は浴場を離れて復た崖の道を上った。その中途にある小屋へ声を掛けに寄ると、隠居さんは無慾な百姓の顔を出して、先生から預かっている鍵を渡した。
「高瀬さんに一つ、私の別荘を見て頂きましょう」
と言って先生は崖に倚った小楼の方へ高瀬を誘って行った。「これが湯の元です」というところを通った。