Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Lisez 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 813 caractères · 302 écrans

Aozora Bunko

相川は金縁の眼鏡を取除して丁寧に白い子で拭いて、やがてそれを掛添えながら友達の顔を眺めた。

「相川君、まだ僕は二三日東京に居る積りですから、いずれ御宅の方へ伺うことにしましょう」こう原は言出した。「いろいろ御話したいこともある」

「では、君、こうしてくれ給え。明日午前に僕の家へやって来てくれ給え。久し振でゆっくり話そう」

「明日?」と原はいぶかしそうに、「明日は君、土曜――会社があるじゃないか」

「ナニ、一日位休むサ」

「そんなことをしても可いんですか、会社の方は」

「構わないよ」

「じゃあ、そうしようかね。明日は御邪魔になりに伺うとしよう。久し振で僕も出て来たものだから、電車に乗っても、君、さっぱり方角が解らない。小川町から九段へかけて――あの辺は恐しく変ったね。まあ東京の変ったのには驚く。実に驚く。八年ばかり金沢に居る間に、僕はもうすっかり田舎者に成っちゃった」

「そうさ、八年といえばやがて一昔だ。すこし長く居過ぎた気味はあるね」

と言われて、原は淋しそうに笑っていた。有体に言えば、原は金沢の方を辞めて了ったけれども、都会へ出て来て未だこれという目的が無い。