Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lisez 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 813 caractères · 302 écrans
沈鬱な心境を辿りながら、彼は飯田町六丁目の家の方へ帰って行った。途々友達のことが胸に浮ぶ。確に老けた。朝に晩に逢う人は、あたかも住慣れた町を眺めるように、近過ぎて反って何の新しい感想も起らないが、稀に面を合せた友達を見ると、実に、驚くほど変っている。高瀬という友達の言草ではないが、「人間に二通りある――一方の人はじりじり年をとる。他方の人は長い間若くていて急にドシンと陥没ちる」相川は今その言葉を思出して、原をじりじり年をとる方に、自分をドシンと陥没ちる方に考えて見て笑ったが、然し友達もああ変っていようとは思いがけなかった。原ともあろうものが今から年をとってどうする、と彼は歩きながら嘆息した。実際相川はまだまだ若いつもりでいる。彼は、久し振で出て来た友達のことを考えて、歯癢いような気がした。
「田舎に長く居過ぎた故だ」こう言って見たのである。
古本を猟ることはこの節彼が見つけた慰藉の一つであった。これ程費用が少くて快楽の多いものはなかろう、とは持論である。その日も例のように錦町から小川町の通りへ出た。そこここと尋ねあぐんで、やがてぶらぶら裏神保町まで歩いて行くと、軒を並べた本屋町が彼の眼前に展けた。