Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Lisez 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 813 caractères · 302 écrans

Aozora Bunko

お菊はなかなか用心深くて、庭の樹の下なぞに独(ひと)りで遊んでいる方で、容易に他の子供と馴染(なじ)もうともしなかった。

「房ちゃん、大手のお湯(ゆう)へ行きましょう」

こうお菊は母に連れられて入浴に出掛ける時に言った。この娘は小諸の湯屋へ行くつもりでいた。

漸く家の内がすこし片付いて、これから仕事も出来ると思う頃、末の児は意外な発熱の状態(ありさま)に陥入った。新開地のことで、近くには小児科の医者も無かった。村医者があると聞いて、来て診(み)て貰(もら)ったが、子供を扱いつけたことが無いと見えて、とかくハッキリしたことも言ってくれなかった。この医者を信ずる信じないで、家では論が起った。生憎(あいにく)また母の乳は薄くなった。私は町へ出て、コンデンス・ミルクを売る店を探したが、それすらも見当らなかった。その晩は牛込に住む友達の家に会があった。私は途中でミルクを買いしなこの友達にも逢って、小児科医の心あたりを聞いて見る積りであった。村医者は二度も三度も診に来た。最早駄目かしらん、こんな気が起って来た。

「最後の晩餐(ばんさん)!」

と、不図(ふと)、私は坂の途中で鷲(わし)印のミルク罐(かん)を買いながら思った。