Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Lisez 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 813 caractères · 302 écrans

Aozora Bunko

滋養物を取らなければ不可(いけない)――働き過ぎては不可――眼を休ませるようにしなければ不可――種々(いろいろ)に言われて来た。

「一つは粗食した結果だ」

この考えが私の胸に浮んだ。私は信州にある友達の厚意を思って、成るべくこの仕事をする間は、質素に質素に、と心掛けたが、それを通り越して苛酷であった、とはその時まで自分でも気が着かなかった。

日の暮れないうちに、と家内は二人の娘を連れて買物に出掛けた。その日は、私も疲れて一日仕事を休むことにした。縁側に出て庭の木犀(もくせい)に射(あた)る日を眺めていると、植木屋の裏の畠の方から寂しい蛙の鳴声が夢のように聞えて来る。祗園の祭も近づいた、と私は思った。軒並に青簾(あおすだれ)を掛け連ねた小諸本町の通りが私の眼前(めのまえ)にあるような気がして来た。その辺は私の子供がよく遊び歩いたところである。

「ヨイヨ、ヨイヨ」

御輿(みこし)を舁(かつ)いで通る人々の歓呼は私の耳の底に聞えて来た。何時の間にか私の心は山の上の方へ帰って行った。

宿無し犬の黒は私の前を通り過ぎた。この犬は醜くて、誰も飼手が無い。家(うち)の床下からノソノソ這出(はいだ)して、やがて木犀の蔭に寝た。