Classiques japonais avec furigana
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はやみみさんじとりものききがき
早耳三次捕物聞書
林 不忘
Lisez 早耳三次捕物聞書 (はやみみさんじとりものききがき) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 640 caractères · 21 écrans
探索に推量が付いて頭脳の働きが忙しくなると、まるで別人のように人間が荒っぽくなるのが三次の癖だった。これを早耳三次の伝法風といって、八丁堀御役向でさえ一目置いていたほど、当時江戸御用聞のあいだに有名な天下御免の八つ当りであった。今の三次がそれである。長屋の衆は呆気にとられてしまった。
「えこう、皆聞けよ。」と三次は辺りを睨めつけて、「蜻蛉蜻蛉ってそうがらに言うねえ。蜻蛉はな、大事な蜻蛉なんだ。手前ら何だぞ、蜻蛉の辰に指一本差そうもんならこの三次が承服しねえからそう思え、いいか、月番が来ても旦那衆が見えても辰のことだけあ気にも出すな。下手な真似して蜻蛉に手出ししてみろ、片っ端から三次が相手だ――退け、俺あ帰る。思惑があるんだ。」
呶鳴るだけどなってしまうと、三次は人を分けて飄然と帰って行った。
間もなく、申訳なさそうに血だらけの日和下駄を提げて蜻蛉の辰公が飛出して来て、先に立ってあれこれと世話を焼き始めた。みんなさすがに白い眼を向けたが、辰は一こう平気だった。
渡世人と岡っ引は人柄を読むことと場の臭いを嗅ぐことが大切である。ことに剣術の使手は眼の配りと面擦れでわかるものだが、蜻蛉の辰が寝呆け眼をこすりながら出て来た時、三次は一眼見てこれは大きに違うと思った。