Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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えいがとらいのもんだい

映画と癩の問題

伊丹 万作

Lisez 映画と癩の問題 (えいがとらいのもんだい) de 伊丹 万作 (いたみまんさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 941 caractères · 10 écrans

Aozora Bunko

彼らが我々の社会を歩いているということは、癩菌のついた貨幣を我々もまた握るということなのだ。癩者は、彼が無心に生きている瞬間においてさえ、その存在と激しく相剋しているのである。つまり癩者と普通の人間とは決して相いれない存在なのである。そうして、おそらくはこれが癩の現実であり、運命であり、やりきれないところでもある。

癩がそれ自身何らの罪でもないにかかわらず、現実には、かくのごとく憎悪されずにいられないという宿命のおそろしさに目をふさいで、快く泣ける映画が作られたということはいろんな意味で私を懐疑的にしないではおかない。

いったい芸術的に(しかも抒情的に)癩を扱った映画が一本世に出るということはどういう意味を持つものであろう。それは世の中へ何をつけ加えるというのだろう。

私は右のような公式主義的な考え方が好きではない。本当の気持をいえば、芸術家が魂のやむにやまれぬ要求から打ち出したものなら、常識的な意味では、世のためになどならなくてもさしつかえないと思っている。

しかし癩が題材に取られた場合には、このような考え方は許せないと思う。その作品を提出することによって、癩者の幸福に資する点があるとか、あるいは社会問題としての癩に貢献する確乎たる自信がないかぎり、これは芸術家――ことに映画のような娯楽的性格を持つ