Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しゅんもう

春盲

豊島 与志雄

Lisez 春盲 (しゅんもう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 296 caractères · 17 écrans

Aozora Bunko

唇に清冽な感じが来た。正子はしばしじっとしていたが、首をすくめて笑い、絵本をかかえて逃げていった。

「ばかね。ばか……。」

美津子が睥むまねをして、山田の手首をきゅっと抓った。

「あんな熱心なキス、初めて見たわ。わたしの額にも、さあ、してごらんなさい。」

そして彼女はまた、彼の手首をきゅっと抓った。

嫉妬でも非難でもない証拠には、彼女は笑っていた。だから、山田も忘れていたのだ。然し手首には、紫色の斑点が二つ残った。

それも、数日でなおってしまったが、美津子の室の天井裏の音は、風の吹き工合によって、いつでも起った。

その音に怪しいことはないとしても、美津子自身、だんだん痩せ窶れてゆくがようだった。額の小皺に汗をにじませてることがあり、夜は寝汗をかくことがあると打ち明けた。

「医者に診てもらいなさいよ。」

「大丈夫……。気候のせいでしょう。」

「それとも、天井裏の怪しい音のせいかも知れない。」

その怪しい音ばかりでなく、山田はほかの物音にも、気を惹かれていた。それは、美津子のところにいる時よりも、自宅にいる時のことが多かった。

夜陰深更、時として、表の街路に、馬蹄の音が聞えた。