Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あさやけ

朝やけ

豊島 与志雄

Lisez 朝やけ (あさやけ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 795 caractères · 24 écrans

Aozora Bunko

而も、最も悪いことには、喜久子も中野も或は面白がって承知するかも知れなかった。彼女の盲目な肉体は、また彼の萎靡した精神は、それを受け容れ得るかも知れなかった。だが、おれの魂は頑強に反抗した。――おれはいつしか、深い瞑想に沈みこんでいった。

「どうしたんでしょう。なんだか様子が変ね。」と中野が言っていた。

「飲みすぎたんでしょう。」と喜久子が言っていた。

「用事ってのは、何のことかしら。」

「さあ、あたしにも分らないわ。」

そのような言葉を遠く耳にして、おれは身を動かしたとたんに、コップを二つスタンドから落したらしい。硝子の砕ける澄んだ音に、おれは我に返って立ち上った。

「用件とは、酒を飲むことだ。さあ、もっと飲もう。」

おれは祝杯をあげかけたが、また腰掛の上にくず折れてしまった。

「あたし、もう帰ってよ。」

「ええ、それがいいわ。」

声だけ聞えた。中野は立ち去ったらしい。喜久子はちょっと後片付けをしたらしい。そしておれは寝床へ連れこまれたらしい。

アルコールの過度の刺戟で、おれは夜中に眼を覚ました。それからおれは、肱で突っつかれて寝返りをした喜久子の、下品な耳をしばらく見ていたが、ひどく佗びしい気持ちになって、そっと起き上った。