Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みいらのみみかざり

木乃伊の耳飾

国枝 史郎

Lisez 木乃伊の耳飾 (みいらのみみかざり) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 905 caractères · 12 écrans

Aozora Bunko

どこ迄もどこ迄もその廊下を博士は走って行くのである。博士は幾時走ったか、それは博士にも解らなかった。兎に角、廊下は尽きたのである。

長い廊下の尽きた所に、巨然と聳える天然岩を、驚異の眼で眺め乍ら、高く松火をかかげた博士は、岩の面に記されてある、一行の文字を認めた時思わず「あっ!」と声をあげた。

岩にはこのように記されてある。

「君に願う! 来たり給え、地下室へ」

それからの博士の経験は、夢のように不思議なものであった。先ず第一に驚いたことには、天然岩の中腹が、丸く大きく刳られていて、博士の体が触るるや否や、グルリと軸なりに回転し、岩の彼方の密室を眼の前に現わしたことである。博士は躊躇せずに飛び込んだ。ああ密室の奇怪なことよ! 計り知られぬ円柱が、室を支えて立っている。室の中央に厳そかに、石造の棺が置いてある。室に立ち籠る香の匂! それは曹達と没薬と土瀝青とを合わせて造ったところの、古代の湯灌の匂である。

博士は松火を振り立てながら、自分の考古癖に誘われて、石棺の方へ近寄って行った。棺の内には木乃伊が在る。胸へ手を組んだその木乃伊の、手の指に握られた耳飾は、巨大な金剛石に鏤められ、数千年の往時から、二十世紀の今日まで、同じ光に輝いている。