Classiques japonais avec furigana
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きそおんたけのりょうめん
木曽御嶽の両面
吉江 喬松
Lisez 木曽御嶽の両面 (きそおんたけのりょうめん) de 吉江 喬松 (よしえたかまつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 819 caractères · 32 écrans
私は是非行って見たいと思った。
しかし私らの今取ろうというのは、この峻嶺跋渉ではない、烈しい白雲の中を衝いていわゆる裏山を飛騨の国へ下りようというのである。
飛騨路というのは峰の小屋から路を右手にとり、二の池の岸を繞って磊々たる小石の中を下って行くので、途というべき途はない。少し霧が深く、小雨でも降ろうものなら何れが路とも分らなくなるのである。峰の小屋の熊のような主は「危えぜ、克く気を付けて行かっせ、何でも右へ右へと、小石の積んだのを目当てに行きせえすりぁ大丈夫だ。」といったが、福島から付いて来た案内の強力も、二の池から山を少し下って裏山になりかかる所で分れて木曾の方へ戻ってしまった。
御嶽の裏山! 年々飛騨路から多少の登山者はあるとは聞いたが、その他には通い手のない途だ。剣が峰を左手に仰いで池の岸から賽の河原という所を通る。一面の石原、大小千個ともなき焼石の原である。それでも幾年かの間、登山者の草鞋の当る所だけがすれて、少し隔って見ると微かに白く一筋の道のようにはなっているが、近くその上へ行って見ると何処ともはっきりとは判らない、ただ所々に小石を積んで道しるべにしてあるのが、せめてもの目当である。