Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
すだま
木魂
夢野 久作
Lisez 木魂 (すだま) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 668 caractères · 46 écrans
そうして四十を越してから妻を亡くした見窄らしい自分自身の姿が、こころもち前屈みになって歩いて行く姿を、二三十間向うの線路の上に、幻覚的に描き出しながらも……。
……もっともだ。もっともだ。そうした儚ない追憶に耽るのは、お前のために取残されているタッタ一つの悲しい特権なのだ。お前以外に、お前のそうした痛々しい追憶を冷笑し得る者がどこに居るのだ……。
と云いたいような、一種の憤慨に似た誇りをさえ感じつつ、眼の中を熱くする事もあった。そうして全国の小学児童に代数や幾何の面白さを習得さすべく、彼自身の貴い経験によって、心血を傾けて編纂しつつある「小学算術教科書」が思い通りに全国の津々浦々にまで普及した嬉しさや、さては又、県視学の眼の前で、複雑な高次方程式に属する四則雑題を見事に解いた教え子の無邪気な笑い顔なぞを思い出しつつ……云い知れぬ喜びや悲しみに交る交る満たされつつ、口にしたバットの火が消えたのも忘れて行く事が多いのであった。
「……オトウサン……」
という声をツイ耳の傍で聞いたように思ったのはソンナ時であった……。
「……………………」
ハッと気が付いてみると彼は、その日もいつの間にか平生の習慣通りに、線路伝いに来ていて、ちょうど長い長い堀割の真中あたりに近い枕木の上に立佇まっているのであった。