Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ほんじょまつざかちょう
本所松坂町
尾崎 士郎
Lisez 本所松坂町 (ほんじょまつざかちょう) de 尾崎 士郎 (おざきしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 622 caractères · 55 écrans
「いやだよ、おらア」
「おい、声をだすなよ」
はだけた裾をおさえた男の足がぐっとのしかかってきた。
「ね、今夜は、――今夜は、今夜はいけないんだよ」
こび権も性来、気のつよい男ではなかったが、此処まで来てから場所柄を考えて引っ込むわけにもゆかなかった。
いよいよ反抗すると、おのぶの方にも、こび権をはねっかえすだけの底力があった。
必死になって、もがいているとき裏戸のがたがたとゆれる音が聞えた。しかし、その音はおのぶの耳にもこび権の耳にも聞えなかった。
裏戸が外からはずれ、野良着のままの藤作がとびこんできたのはちょうどそのときである。藤作はもう夢中だった。おのぶが殺されると思ったのだ。外の月あかりで、おのぶの上に馬乗りになっている、こび権を見ると彼は藁草履をはいたまま縁側にとびあがり、必死になっておどりかかった。首すじをおさえると、こび権の身体は機みを喰ったように横へ倒れた。
「野郎、何をしゃらくせえ」
藤作の入ってきたことがわかったら、それだけでこび権は手をはなしたであろう。相手が誰だかハッキリしなかったところへ、だしぬけに首すじをおさえられたので、女の手前いやでも彼はひらき直らずにはいられなかった。