Classiques japonais avec furigana
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ほんだな
本棚
宮本 百合子
Lisez 本棚 (ほんだな) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 015 caractères · 8 écrans
。烈しい一図な天性で、東大を卒業するという年に、皆の手をふり切ってアメリカへ行って、やがて宣教師になってしまった。明治三十九年頃かえって来て程なく中耳炎でなくなった。
若い嫂であった母を対手に、子供のための本を書くことを計画して、その思いつきは折から父が外国へ出かけていて留守中だった母をもかなり熱心に動かしたらしい。耳から頭へ大きく白く繃帯をかけた、どっちかというとこわい顔の大柄の叔父の病床のわきで、母は叔父の口述する話を書きとったりしてもやったらしい。けれど、この計画は到頭実現しなかった。それというのは、何しろこの省吾という人は、鱗のない魚はたべないというほどのキリスト信者であったから、子供のための本にしろ、そこに神だとか罪だとか、天国とか地獄とかをぬきにしては物を云うことが出来ない。「神の大いなる日」という本をこの人が書いていて、それにはこまかい銅版刷で世界の終りの日の絵が插画になっているという仕儀である。
母には、天国地獄というものさえ奇怪だのに、まして、叔父の云うことをきけば、親と子とさえ、信仰の有無で最後の審判の日には天国と地獄とへ引きわけられなければならないというに到っては、迚もそのような信仰をありがたがることは出来ず、ひいては、自分も手つだってこしらえる子供の本が、そういう考えで作られてゆく