Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りゅうえいひろくかつえぐら

柳営秘録かつえ蔵

国枝 史郎

Lisez 柳営秘録かつえ蔵 (りゅうえいひろくかつえぐら) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 933 caractères · 27 écrans

Aozora Bunko

で頸筋を赧くした。

その夜奥方はお杉へ云った。

「其方も今は旗本の娘、若い男とはしたなく、決して話してはなりませぬ」

こうしてお杉と三之丞とは、その間を隔てられた。隔てられて募らない恋だったら、恋の仲間へは入らない。おりから季節は五月であった。蛍でさえも生れ出でて、情火を燃やす時であった。蛙でさえも水田に鳴き、侶を求める時であった。梅の実の熟する時、鵜飼の鵜さえ接がう時、「お手討ちの夫婦なりしを衣更え」不義乱倫の行ないさえ、美しく見える時であった。

二人は恋を募らせた。

お杉はすっかり憂鬱になった。そうして心が頑固になった。ろくろく物さえ云わなくなった。そうして万事に意地悪くなり、思う所を通そうとした。

三之丞は次第に兇暴になった。

恐ろしいことが起こらなければよいが!

それは夕立の雨後の月が、傾きかけている深夜であった。新吉原の土手八丁、そこを二人の若い男女が、手を引き合って走っていた。

と、行手から編笠姿、懐手をした侍が、俯向きながら歩いて来た。擦れ違った一刹那、

「待て!」と侍は忍び音に呼んだ。

「ひえッ」と云うと男女の者は、泥濘へペタペタと膝をついた。