Classiques japonais avec furigana
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もりのくらきよる
森の暗き夜
小川 未明
Lisez 森の暗き夜 (もりのくらきよる) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 725 caractères · 18 écrans
五
巴旦杏の熟したような色であった。女はじっとその鬼あざみを見て、華やかに笑ったのである。
この時、巣を作っている鳥が、怪しな声で啼いた。尾は長く、垂れて、頭の上に届きそうだ。鳥の拡げた翼の紅は、柔らかな、つやつやしい、青葉の光りに映った。鳥の長い頸は、曲線的にS形に空を仰いで、思い切った、張り詰めた声で啼いた。女は、この啼声を聞いた時、自分の腹でも、怪しくそれと啼き合した声がある。
五
「今晩は。」……この声を、もう一度聞いて見たい。女は懐かしくて堪らなくなった。女は、あくる日も、その鳥の巣を作っているのを見た。そして、その怪しな啼声を聞いた。
腹の中で、それと啼き合す、怪しな啼声を聞いた。
青と青とが摺れ、緑と緑とが蒸し合い、加えて紫の花の激しき香気。いずれもそれらは水を望んでいる。清らかな、日に輝いて、妙なる歌をうたって流れている水に渇している。唇の紫の女も水に渇している。女は、もはや、森を奥深く分けて進むに堪えなかった。激しい日光は緑の葉に燃えている。草を踏むと身が蒸されるようにむうっとなった。青葉に輝く日光と風を見ると、眼が眩んで来た。白い花、紫の花、目を射るように、等しく日光に輝いていた。