Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しいのき
椎の木
豊島 与志雄
Lisez 椎の木 (しいのき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 870 caractères · 52 écrans
「万一の時には、私がついていますから、心配はいりません。」
「ははは、そう気をもまんでもいいよ。」
「然し、先生は、どうも呑気だから、うっかりするとひっかかりますよ。」
「そこは、注意してるよ。」
「用心していて下さい。」
「ああ、大丈夫だ。まあ飲めよ。」
そして、不思議なことには、竹山が落付いてくるにつれて、川村さんの方が何か気懸りらしく、竹山の様子をそれとなく観察しだしたのだった。それと共に、妙に考えこんで、憂欝な影が眼の中にさしてきた。
「どうだい、お母さんは……。」
「ええ、母は……。」
云いかけて竹山は、ふいに思いだしたように、あらたまってお辞儀をして、先刻の届物の礼を述べた。
「ほんとに喜んでいました。涙ぐんでいました。……そうだ、私を待ってるんです。もう用はありませんね。」
「まあ飲んでいけよ。」
「また来ます。母が待ってるんです。」
そして竹山は、も一度室の中を見廻したが、立上ったとたんに、違い棚の方へ眼をつけて、つかつかと寄っていった。その時、川村さんははっと顔色をかえた。
「それ、いけない。」
川村さんが叫んでつっ立った時、竹山の手には、違い棚の上の小さな袱紗づつみが握られていた。