Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くすのきのはなし
楠の話
豊島 与志雄
Lisez 楠の話 (くすのきのはなし) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 820 caractères · 22 écrans
私はそれから何度も其処に行って空を見上げた。
少し加減のいい日、父も母と私とに連れられて楠の無くなった跡を見舞った。そして父が一番に驚いたらしいのはやはりその広い空だった。(父がまだ生きていたら、私は今そのことをはっきりとどんなに尋ねてみたいことか。)なぜなら、父はその時、淋しくはあったが本当に清らかな笑みを顔に浮べたから。
其後、楠の跡の穴は埋められ、地面は平にされて、元の所に稲荷堂が据えられた。その上、円木の赤い鳥居が一つ建てられ、また小さい楠が一本稲荷堂の横に植えられた。そして終生夢想家であった父は、恐らくそれについては満足して死んだであろう。
然し今その所の幻を思い浮べてみると、私の心には三つのものがまざまざと感ぜられる。一つは、あの日見た父の荘厳な姿である。も一つは、あの日見た見知らぬ人々の群である。また他の一つは、楠の倒れた後に突然開かれた広い朗かな青空である。この青空に対する気持ちを、私は到底言葉で云いつくすことが出来ない。