Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
えのきものがたり
榎物語
山本 周五郎
Lisez 榎物語 (えのきものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 519 caractères · 67 écrans
なにもかも吹きとばし、水で押し流れるがいい、この家もろとも人も物も吹き飛ばし押し流して、跡形もなくなってしまえ。さわは殆んど声に出すような気持でそう願った。
「あの人が手紙をくれた」とさわは呟いた、「あの人は字が書けるようになったのか、それとも誰かに頼んで書いてもらったのか、とにかくあたしに手紙をくれた、あたしが生れて初めてもらう手紙だった」
どこかで切迫した人声が聞えた。あらしの物音に消されて、誰がなにを云っているのかわからないが、なにか異常な事が起こり、それを告げたり、問い返したりする叫び声のように聞えた。
「お父さんはそれを引裂き、ずたずたに千切ってしまった」とさわはまた呟いた、「あの人にとっても、生れて初めて人に出した手紙だろうに、そして、あたしになにかを告げたかったろうのに、お父さんはそれを、あたしの眼の前でやぶり、屑のように千切ってしまった、これだけはゆるせない、いくら親でもこれだけは決してゆるせないわ」
さわは立ちあがった。折竹村の家へ預けるという、そこは叔母の嫁入り先で、葉川村から二里ちかくも、山の中へはいったところにある。預けられるとすれば、親に隠れて男と文のやりとりをした、みだらな娘だと伝えられるだろう。