Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Lisez 榎物語 (えのきものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 519 caractères · 67 écrans

Aozora Bunko

道には荷を積んだ百姓馬と、女を混えた七八人の旅人が、ばらばらになって歩いていた。みんな南から北へ向ってゆく人たちだったが、おすげはその中の一人を見まもってい、さわが「どうしたの」と呼びかけようとしたとき、喉から異様な叫び声をもらすと、殆んど宙を飛ぶといったような動作で、まっすぐにそっちへ走っていった。そしてさわははっきりと見たのだ、おすげの叫び声を聞いた旅人の一人が振返り、かぶっている笠の端をあげて、走って来るおすげを認めると、ぬいで持っていた塵除け合羽を投げだし、これもなにか叫びながら、おすげのほうへ駆け戻った。さわの立っているところからおよそ二三十間はなれていたが、両方から走りよった二人がいっしょになり、手を取りあうとたん、おすげの泣きだす声が、さわにはよく聞きとれた。

「本当にあるのね」とさわは無意識に独り言を云った、「小説や云い伝えだけじゃなく、本当にあることなのね」

あちらの二人は、往来する人たちにも気がつかないとみえ、肩を寄せあったまま、なにか話しながら歩きだし、宿のほうへと去っていった。さわは、「夢中なんだわ」と微笑して、街道へ出てゆき、あの男の放りだしていった合羽を拾いあげると、土埃をはたきながら、二人の去っていったほうをもう一度、祝福するような眼つきで眺めやった。