Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 078 caractères · 285 écrans

Aozora Bunko

志摩はそう呼びかけたかった。

――しかしどうなるのです。

酒井雅楽頭が六十二万石の改易を計っていたとすると、この評定はどうなるのです。涌谷さまや貴方には勝算があるのですか、私たちにもなにか役立つことはなかったのですか。こういうふうに、口まで出かかる呼びかけを抑えながら、そのおもいをこめて甲斐を見まもった。甲斐は扇子を持った片手を、投げだすように膝の上に置いていた。左の頬に深い竪皺がより、唇はやわらかくむすばれている。坐った姿勢も、顔の表情も、平常どおり柔和でゆったりとおちついていた。

「船岡どの」と柴田外記が辛抱をきらしたように云った、「いま涌谷さまの云われたことはどういう意味ですか」

甲斐の答えるまでにちょっと暇がかかった。それから甲斐は、殆んど困惑したように、微笑しながら外記を見て云った。

「お聞きになったとおり、と申すほかはありません」

「もしそのとおりなら」と外記は咎めるように云った、「それほどの大事を、国老であるわれらになぜ秘しておられた、頼むにたらぬと思われたのか」

甲斐は会釈して答えた、「涌谷さまの云われたとおり、事は極めて重大であって、どう動いても幕府に逆手を取られかねません、ただ隠密に陰謀を抑え、抑えて抑えぬく以外に手段はなかったのです」