Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 078 caractères · 285 écrans

Aozora Bunko

七十郎は沈黙した。それから暫くして、隣りで鷺坂が起きている、と云った。

「眠ろう、朝が早いぞ」

やがて、十左が囁いた。

「小野までいっしょにゆくぞ」

七十郎は、いや、と枕の上で頭を振った。

「そんな必要はない、それでは事を面倒にするばかりだ、明日はここで別れよう」

「おれは小野までゆきたいのだ」

「ここで別れる」と七十郎が云った。

それから、十左のほうを静かに見やって、里見十左衛門にも似あわない、しっかりしてくれ、と云った。

「おれたちが間違いなく仕遂げられればいいが、やってみなければ成否はわからない、万一仕損じたときに、後陣を頼めるのは里見老だけだぞ」

「だめだ、そう云ってくれる気持は、有難い、有難く思うが、この眼ではだめだ」と云って十左は呻いた、「こんな眼になってしまって、なにができる、眼だけではない、足腰も弱ってきた、おれはもう老いぼれだ」

鷺坂に聞えるぞ、と七十郎が制止し、十左は口をつぐんで、壁のほうへ寝返りをうった。七十郎は低い声で、事を行うのは躯ではない、と囁いた。不退転の心さえあれば、大事は決行できる、それは誰よりも里見老が知っている筈だ、もしもわれわれが仕損じたら、里見老は必ず遺志を継いでくれるだろう、そのほかに人はいない、おれはそう信じている、と彼は云った。