Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 078 caractères · 285 écrans
「――ただいまにてもあれ、鎌倉におん大事あらば、ちぎれたりともこの具足、取って投げかけ、錆びたりとも長刀を持ち、痩せたりともあの馬に乗り、一番にはせ参じ着到につき、さて」
そこで七十郎は刀を取って抜き、白刃を振りながら舞った。
「さて合戦はじまらば、敵大勢ありとても、一番に割って入り、思う敵とよりあいて、死なんこの身の」
七十郎は刀を上段から振りおろし、そのままうたいやめて、急に笑いだしながら、元の席へ坐った。彼は刀によくぬぐいをかけて、鞘におさめると、家従の若待たちに、こんどはおまえたちだ、と指さし、なにか披露をしろと、名を呼んで命じた。
若侍たちは、代る代る、神妙にうたったり、舞ったりしたが、七十郎は仰向けに倒れ、両手を頭のうしろにかって、ひそかに、眉をしかめながら唇を噛んだ。
――颯爽たるものだな。
という甲斐の声が、またしても、はっきりと聞えたように思ったのである。だめだ、と七十郎は天床をにらみながら思った。こんなことではだめだ、こんな軽薄なことで大事がやり遂げられるものではない。うん、と彼は低く呻き、歯をくいしばった。
その夜、七十郎はよく眠れなかった。