Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 078 caractères · 285 écrans

Aozora Bunko

――なにかが近よって来る。

と甲斐は思った。丹三郎、周防の死、そして舎人の追放、甲斐を遠巻きにしていたなにかが、しだいにその輪をちぢめ、力を加えて、彼の上にのしかかって来る、というような感じを、彼は殆んど肉躰にまで感じはじめた。

そこへ「席次の争い」という問題が起こったのである。

その知らせは、船岡にいる家老の、片倉隼人から来た。手紙は詳細に事実を伝えていたが、甲斐をおどろかせたのは、その争いの中に、わが子の帯刀が加わっていることであった。

事のしだいはこうである。――その年の四月十三日、幕府の国目付が仙台へ着いた。国目付は例年のとおり、神尾若狭守(使番)安部主膳(小姓組)の二人で、四月五日に江戸を立ち、十三日に到着した。そうして、四月二十二日、仙台城の二ノ丸で、両国目付の饗応がおこなわれた。

これには役目の者、家筋の者が挨拶に出て、国目付から盃を受けるのであるが、その席順は左のとおりになっていた。

第一、家老

第二、評定役

第三、着座(国老となる家柄)

第四、大番頭

第五、出入司(会計総監)

第六、小姓頭

第七、目付役

これは定例になっていたが、二十二日の饗応には、この席次が無視された。