Classiques japonais avec furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 148 519 caractères · 296 écrans
「よして下さい、大丈夫ですから」
新八は肩をすくめた。おみやがすばやく手拭を取りあげると、壁へ湯がはねた。
「ほらごらんなさい、湯がはねるじゃないの」とおみやが云った、「湯がはねるからながしてあげるっていうのよ、じっとしてらっしゃい」
新八は固くなった。
「ずいぶんしっかりした躯をしてるのね、裸になると十六だなんて思えやしないわ、ここのところなんて肉がこりこりしてるじゃないの」
おみやは片手で彼の肩をつかみ、片方の手にまるめた手拭を持って、それで彼の肩や背中をこすった。新八の白い膚は、こするにしたがって赤くなった。まだ少年らしい柔軟な薄い膚であるが、育ちざかりの、新鮮な、活き活きした力の脈搏っているのが、その膚の下に感じられた。
「あら、どうするのよ」とおみやが云った、「そんなに逃げちゃあながせないでしょ」
「擽ったいんです」
「子供のようなこと云わないの、しゃんと力をいれてなさいな、ずいぶん垢がよれるわ」
おみやの顔は赤くなり、力をいれるので息も荒くなった。おみやが立ったり跼んだりするたびに、彼女のからだの匂いと香油の香が新八を包み、彼女の荒い呼吸が、うしろ頸や、肩や、背中を熱く撫でた。