Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 148 519 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

おみやといっしょにいると、これまで彼の知らなかった感情や感覚が、彼のなかにめざめ、つよい力で彼を支配しようとする。しかも彼は、自分がそれに抵抗できなくなるだろう、ということを感じ、そのために自分が不潔で、けがらわしく思われる。

――この家を出てゆこう。

出てゆかなければならない。幾十たびとなくそう決心した。しかし出てはゆけない、彼はその家を出てゆくことはできなかった。

――金も持ってはいないし、仙台藩の追手に捉まるだろう。

たしかに、そのとおりだった。それは決して「口実」ではない。口実ではないか。たしかに「口実」ではないか。新八は自分を恥じ、自分を不潔に思った。

おみやは浮き浮きしていた。夕餉の支度をしながら、あまえた声で新八に話しかけ、なにか楽しいことでもあるように、鼻唄をうたったりした。――二人が食膳に向かったとき、六郎兵衛が帰って来た。彼は酔っていた。そして、いつものように酒を命じ、奥の六帖で飲みだした。

六郎兵衛が飲みだすとまもなく、隣りのお久米が戸口へ来て、おみやと何か話しだした。お久米は日本橋のほうの、回船問屋をしている老人のかこい者で、おみやの話しによると、六郎兵衛に想いをかけているのだという。