Classiques japonais avec furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 148 519 caractères · 296 écrans
「云いつけたのは誰だ」と六郎兵衛が訊いた、「兵部少輔か」
「斬れ」と相手が云った。
六郎兵衛が云った、「兵部少輔の云いつけか」
「云うことはない斬れ」
「云わせてみせるさ」六郎兵衛は、相手の眉間へ、刀の切尖をつきつけた、「云わなければ、きさまを縛ってこのまま、出る所へ出てみせる、きさまがその人間の名を云わなくとも、仙台六十万石の名は出ずにはいないぞ」
「おれを斬れ」と相手は云った、「おれを斬ることはできるが、生きたまま縛ることはできない、おれが自分で死ぬのをきさまが止めることはできないぞ」
「そうか、――」
云うとたんに、六郎兵衛は相手の胸さきを蹴あげた。彼は当身をくれるつもりだったらしい、だが、そのとき、向うの暗がりから人が出て来た。
「もういい、そのへんでよしてやれ」とその男が云った。
六郎兵衛は脇へとびのいた。尾行者は躯を横にねじって路上に片手をついたまま喘いでいた。男はこっちへ近よった。「誰だ」、と六郎兵衛が云った。
「そんなことを気にするな」と男は云った、「おまえさんの知りたいのは、その男におまえさんを斬れと命じた人間だろう。そいつはあの屋敷の家老で、新妻隼人という者だ」