Classiques japonais avec furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 148 519 caractères · 296 écrans
「いやだ、自分で歩くよ」
虎之助は姉の手を拒んだ。
新八がせきたて、いっしょに走りだしたが、すぐに五人の人たちにゆくてを塞がれた。かれらはお厩のほうから来た。提灯を持った二人の小者と、ほかに侍が三人いた。かれらはとつぜんお厩のほうから現われて、こちらの三人をとり巻いた。
新八は畑姉弟をうしろに庇った。虎之助は姉にしがみついた。
「こんな処でなにしている」と侍の一人が云った。
小者たちが左右から提灯をさしつけた。呼びかけた侍は三十歳ばかりで、固肥りの小柄な男だった。声は低く、穏やかであった。
「私は、私たちは、――」
新八は吃った。すると侍が宇乃に云った。
「そちらは畑どのの御姉弟だな」
「ええそうです」と新八が吃りながら云った、「そして私は、宮本の新八です」
侍は宇乃を見、新八を見た。
「私は原田家の村山喜兵衛という者だが」とその侍は新八に云った、「こんな時刻にこんな処でなにをしているのだ」
「私にはわかりません」新八はふるえながら云った、「私は兄に云われて、客が二人来たのですが、兄は私に畑さんへ知らせにゆけと云ったのです、畑さんへ知らせて、それから浜屋敷へゆけと云われたので」