Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 148 519 caractères · 296 écrans

Aozora Bunko

律がそう云ったとき、襖の向うで声がし、若い小間使がはいって来た。律は良人からはなれた。小間使は礼をし、律の着替えを手伝うために坐った。

律の着替えが済むと、小間使はいちどさがり、つぎに、もう一人の小間使が、大きな水盤を運んで来て、夜具の枕もとのほうへ、三尺ほど離して置いた。その水盤には玉石を敷いて水を満たし、若木の柳と葦とが活けてあった。

小間使たちが去ると、律は団扇を持って夜具の上に坐った。

「私はでかけなければならない」と甲斐が云った。律は片方に団扇を持ったまま、両手を良人のほうへさしのべた。

「人が待っているんだ」

「おでかけになるのですって」

「松山が待っているんだ」と甲斐が云った。

律はさしのばしていた手をおろした、「松山って兄でございますか」

「周防どのだ」と甲斐が云った、「国から涌谷さまが来られた、藩邸にはまだ内密で、小石川の普請小屋に周防どのとおられる」

「普請小屋ですって」

「堀普請のことは知っているだろう、周防どのは総奉行で、三日にいちどずつ吉祥寺の支配小屋へ泊られるのだ」

「涌谷さまがそんなお小屋へいらしっているんですか」

「二人で私を待っておられる」