Classiques japonais avec furigana
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きかんしゃ
機関車
佐左木 俊郎
Lisez 機関車 (きかんしゃ) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 808 caractères · 12 écrans
「馬鹿いうな! 故障なんかあるもんか。僕は、てめえ等のように、やたらと蒸気を入れねえだけのことさ。」
吉田は口尻を歪めるようにして、軽く微笑みながら、そんな風にいった。
「だからさ。たまには無駄な蒸気も入れて、ピストン・ロットぐらいは運転させなくちゃ、人間として、機関車の甲斐がねえじゃないか?」
「僕は第一、機関車だけで運転するっていうようなことが嫌なんだ。まして、ピストン・ロットを動かしたいだけのことで、わざわざあんなところまで行くのは嫌なんだ。」
要するに吉田は、女性を単なる快楽の対象として取り扱うのが嫌な気がするのであった。何かしらそこに相互的な関係を考えずにはいられなかった。
三
機関庫裏には、滝の湯の方への、割合に平坦な路が一本うねっていた。吉田は機関庫の宿直室からぬけて、よくそこへ散歩に出て行った。
若々しい青葉の晩春で、搾りたての牛乳を流したような靄が草いきれを含んで一面に漂っていた。吉田は口笛を鳴らしながら、水色の作業服のズボンに両手を突っ込んで、静かに歩いた。遠くから、湯の川の音が睡そうにとぎれて来た。野犬が底の底から吠えたてていた。