Classiques japonais avec furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 178 724 caractères · 355 écrans
しかし、二人ともすました顔をしている。
「いったい、いつごろご出発です。」
「あさって。」
と、朝倉先生は奥さんを顧みて、
「大丈夫、あさっては立てるだろう。」
「ええ、お二階の文庫さえ片づけば。」
次郎は眼をまるくして二人を見くらべていたが、急にくってかかるように言った。
「すると、僕たち白鳥会員はいつお別れの会をすればいいんです。」
「べつにあらたまってそんな必要もないだろう。」
「先生!」
と、次郎は泣声になり、
「それは無茶です。僕たちは、まだ、先生がこれからどんなお仕事をされるか、まるで知ってないんです。どこに行かれるかも知ってないんです。」
「何をするかは、私自身にもまだはっきりわかっていない。行く先は一先ず東京だ。みんなには君からそう言っておいてくれたまえ。送別式の時には言うつもりではいるがね。」
「先生!」
次郎は叫んでテーブルの上につっ伏した。両肩が大きく波うっている。
「何も激することはない。小さなことにとらわれてはいかんよ。」
「小さなことじゃありません。」
「別れの会なんか、どうでもいいことだよ。もっと永久のことを考えてもらいたいね。」
「永久のことを考えるから、言っているんです。