Classiques japonais avec furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 117 781 caractères · 235 écrans
「出て来んと火をつけるぞっ。」
大沢が、その時、途方もない大きなあくびをして起きあがった。すると、下の騒ぎは急にぴたりとしずまった。次郎は、その瞬間、何か最後の決意といったようなものを感じて、全身が熱くなるのを覚えた。
「兄さん、起きよう。」
言うなり、彼ははね起きた。大沢は、しかし、すぐ彼の肩を押さえ、低い声で、
「待て、待て、僕が会ってみるから。」
次郎は何か叱られたような、それでいて、ほっとした気持だった。
間もなく、大沢は積藁の端のところまではって行ったが、
「どうもすみません。しかし、僕たちは中学生です。決して怪しい者ではありません。今夜一晩ここに寝せてくれませんか。」
と、いやにていねいな調子だった。
「ばかこけっ。」
と、下の声がどなった。
「怪しいものでのうて、こんなところに寝る奴があるけい。」
「泊めてくれる家がなかったもんですから。……」
「理窟はどうでもええ。とにかくおらたちと村までついてくるんじゃ。」
「そうですか、じゃあ行きましょう。」
大沢は、いきなりどしんと土間に飛びおりた。恭一と次郎とは、思わず手を握りあって、息をはずませた。
「一人じゃねえだろう。