Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lisez 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 117 781 caractères · 235 écrans

Aozora Bunko

さで胸がふくらんで来るだけだった。夏以来、彼自身でも健気な努力をして来たつもりだったが、それも無駄だったという気がしてならなかった。それで無念さがなお一層かき立てられた。「無計画の計画」という言葉をとおして、いくらか形を与えられかけていた彼の人生観も、そうなると、もう何の役にも立たなかった。

「ちえっ。」

と彼は何度も舌打をしたあと、やっと一二歩足をかわしたが、しかし、どこに行こうというあてもなかった。彼はただそこいらを行ったり来たりした。彼の靴裏には、白楊の葉にうずもれてまだ新芽をみせない枯草が、ぼそぼそと音を立てた。

歩きまわっているうちに、ふと、彼の頭に妙な考えが浮かんで来た。それは、

(これからうんと数学を勉強するんだ。そして毎時間山伏を困らしてやるんだ。)

という考えだった。そう考えた時の彼の心に浮かんでいた先生の名は、むろん、「トミテル」ではなかった。また「ホウキョウ・ホウシュン」でもなかった。それはたしかに「山伏」にちがいなかったのである。

彼は、われ知らず、もう半年以上も忘れていた皮肉な微笑をもらした。そして、靴のかかとで二三回強く枯草をふみつけたあと、思いきったように教室の方に足を運んだ。