Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぶけわらじ
武家草鞋
山本 周五郎
Lisez 武家草鞋 (ぶけわらじ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 835 caractères · 35 écrans
五
た。伝三郎は黙って聞いていた、内容はどうでもよい、いねの美しい声音といかにも楽しそうな話しぶりを聞いているだけで、しぜんに心まで温かくなる感じだった、まるで子守り歌のようだ、そんなことを思っていると、やがてその話のなかに思いがけない言葉が出てきた。
「わたくしこういう畑仕事が好きなのは血だと思いますの、わたくしの生れがお百姓のむすめなのですから」
「お百姓の生れですって」伝三郎は聞き咎めて反問した、「……わたしはまた牧野家は郷士のいえがらだと聞きましたがね」
「ええお祖父さまはそうでございますわ、でもわたくしは百姓の生れでお祖父さまの実の孫ではございませんの、宗方さまはまだご存じではなかったでしょうか」
五
「初めて聞きました」伝三郎はちょっと信じられないようにあらためて娘を見直した、「……わたしは実のお孫さんだとばかり思っていましたがね」
「村の方たちもそう云いますし、わたくしにも実のお祖父さまとしか思えません、でも本当は縁もゆかりもございませんの、わたくしが五つのときみなし児になったのを、お祖父さまが拾って育てて下すったのです」
いねは此処から一里ほど南にある美川という村で生れた、家はかなりな自作百姓だったが、或る年の夏、天竜川が氾濫して家も田畑も流され、父母と二人の兄をその水禍でとられた。