Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しのぜんご

死の前後

豊島 与志雄

Lisez 死の前後 (しのぜんご) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 273 caractères · 35 écrans

Aozora Bunko

おしげの荷物を調べるのは憚られるが、何か深い関係がありそうなみち子へ、内々耳に入れておく方がよさそうだ。

蔦子という名前で芸妓に出てた彼女は、本所の折箱屋夫婦に連れられて、初めて島村の家の敷居をまたいだ。おとなしい七三のハイカラに髪を結って、指輪もすっかりぬきとっていたが、その全体の感じが、島村の妻君は何となくなじめなかった。痩せがたの、顔立も相当ととのった、二十二三の女だったが、縁のたるんだ浮わついた眼、生気と血色との乏しい滑らかな頬、顔は殆んど素肌で頸筋を白くぬった化粧の工合、襟のくり方が素人とちがう黒の紋服の着附工合、腰から膝への体重のもたせ方など、その全体の感じに、いつでもひょいと動きだしそうな不安定さがあって、病身の神経質な島村の妻君には、しっくりと話がしにくいように思えた。殊にその細そりした鼻筋と受け口の下唇とが、変に彼女の心を反撥した。彼女はそのことを島村に云った。それで、島村が話を引受けた。

合間を見計って、島村は彼女を別宅によんで、おしげの貯金のことを話しだした。よく知っておりますとの、事もなげな返事だった。

「昨日来ました時、貯金と通帳と印章を、あたしのところへ置いていきました。