Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しまでをかたる
死までを語る
直木 三十五
Lisez 死までを語る (しまでをかたる) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 42 739 caractères · 85 écrans
丁度、それが、維新の変乱の時で、この程度の家は、傾く一方で、私の父惣八は、とうとう天保銭を三枚もったきりで、大阪へ出奔してしまった。それから、大丸屋呉服店へ奉公して、番頭になったが、何か熱病で、夢中の内に、情婦に逃げられたりして、店も面白くなくなったのであろう。大丸での智識を基として、古着屋になったのである。父は、よく今でも云うが
「大野の植村と云うたら、大和の人で、知らん人あれへんで」
という自慢は、本当らしく、一族には、富家が相当にある。この父の所へ、母が
「大野の植村の息子」
というので、嫁に来たのであった。来てみると、店先には「ぱっち」(股引の事)二三足と、汚い古着が、四五枚釣ってあっただけだったので、びっくりした。と、よく話していたが、これが、そもそも貧乏の始めである。
母の家は、大和の国の安堵村の下長で、藍と、木綿とを商にしていたらしい。幼少の時、父が死んで、その弟が、時代の衰勢と、自分の怠惰とから、すっかり、身代をつぶしてしまったらしく、後に、筆墨行商人になって、私の家へ、よく来たが、くると、母に叱られて、よわっていた。
池のある大きい、広い山があったし、馬がいつも、五六頭店先にいたと、母が話しているから、相当の商家であったのであろう。