Classiques japonais avec furigana
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しんだちどり
死んだ千鳥
吉川 英治
Lisez 死んだ千鳥 (しんだちどり) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 539 caractères · 32 écrans
髀肉の嘆
(お金などは、ほん気になって、工面しようと思えば、どうにでもなるではございませんか)
と、良人の沈むほど、彼女はそれを励ます気になって、何でもない事のように云い断った。
――然し、雪の日からもう七日経ったが、坐食の浪宅には、経済的には何の変化も起らない。
四、五十両の金はおろか、一日一日の糧さえ今では窮迫していた。有る物はみんな売り尽していた。品物を金に代えては喰べて来たのである。裏藪に生える蕗の薹の菜にも、この冬は喰べ飽きた。
髀肉の嘆
『――藪椿ですけれど、こうして挿すと見られましょう。お机の上にでも置きましょうか』
有合せの小さな瓶に、一輪投げて、墨江がそこへ持って来ると、
『何だ……花か』
と、良人の賛五郎は、興も湧かない顔つきで、ただ腕拱みの手を解いて、火鉢のふちへ置き代えただけだった。
花では、今の彼の心は、慰められなかった。
『あなた、ちと戸外でも歩いて来てはいかがですか。雪も解け、道も乾いておりましょう。それに、今日あたりはもう、ほんに春が来たという気持――少し歩いておいでなされませ』
『――何しに』
『お気持が晴れましょう』
『おれは、そんな暗い顔つきか』