Classiques japonais avec furigana
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しけいのまえ
死刑の前
幸徳 秋水
Lisez 死刑の前 (しけいのまえ) de 幸徳 秋水 (こうとくしゅうすい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 243 caractères · 23 écrans
死のきたるのは、一個の例外もゆるさない。死に面しては、貴賎・貧富も、善悪・邪正も、知恵・賢不肖も、平等一如である。なにものの知恵も、のがれえぬ。なにものの威力も、抗することはできぬ。もしどうにかしてそれをのがれよう、それに抗しようと、くわだてる者があれば、それは、ひっきょう痴愚のいたりにすぎぬ。ただこれは、東海に不死の薬をもとめ、バベルに昇天の塔をきずかんとしたのと、同じ笑柄である。
なるほど、天下多数の人は、死を恐怖しているようである。しかし、彼らとても、死のまぬがれぬのを知らぬのではない。死をさけられるだろうとも思っていない。おそらくは、彼らのなかに一人でも、永遠の命はおろか、大隈伯のように、百二十五歳まで生きられるだろうと期待し、生きたいと希望している者すらあるまい。いな、百歳・九十歳・八十歳の寿命すらも、まずはむつかしいとあきらめているのが多かろうと思う。はたしてそうならば、彼らは単純に死を恐怖して、どこまでもこれをさけようともだえる者ではない。彼らは、明白に意識せるといなとは別として、彼らの恐怖の原因は、別にあると思う。
すなわち、死ということにともなう諸種の事情である。