Classiques japonais avec furigana
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のこされたるえど
残されたる江戸
柴田 流星
Lisez 残されたる江戸 (のこされたるえど) de 柴田 流星 (しばたりゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 677 caractères · 80 écrans
らの身上はある、洒々落々たる気分は、どうしてもこうした間に潜むもので、吾儕の身に纏う衣類のすべてを通じて、袷ほど江戸ッ児に相応しいものはまたとなかろう。
ただ恨むらくはこの袷というもの、着るべき間のはなはだ長からで、幾許もなくして単衣と代る、是非なしとはいえ江戸ッ児には本意なしとも本意ない。
遮莫、物に執着するはかれらの最も潔しとせぬところ、さればぞ初袷の二日三日を一年の栄えとして、さて遂には裸一貫の気安い夏をも送るのである。
五月場所
櫓太鼓の音、都の朝の静けさを破って、本場所の景気を添ゆれば、晴天十日江戸ッ児の心勇んで、誰しも回向院に魂の馳せぬはない。
本場所も、一月よりは五月場所の方力瘤も入って、自ら気勢いもつくが定で、こればかりは今も昔に譲らず、向両国はいつも熱狂の巷となるのである。
さりながら、相撲道にも大分二一天作の五が十になる鼠算が流行って来て、折角の青天井になお一つ天井が出来、掛小屋が常設館という厳めしいものになって、場所以外にはチャリネの競馬もあれば、菊人形もここで見せるという、どこまでも勘定高い世の風潮につれてしまったが、江戸ッ児にはこの一事のみは心から口惜しく遺憾千万である。