Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぼしじょじょう

母子叙情

岡本 かの子

Lisez 母子叙情 (ぼしじょじょう) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 77 355 caractères · 153 écrans

Aozora Bunko

噴水は三四段の棚に噴き滴って落ち、最後の水受け盤の中には東洋の金魚が小鱒と一しょに泳いでいた。

「いいの、いいの、こんやは、こっちが晩いのだから」

かの女は、ちっとも気にしない声でそういった。そして別の場所を探すよう、やや撫肩ながら厚味のあるむす子の肩の肉を押した。

噴水のネオンの光線の加減のためか、水盤を取り巻いて、食卓を控えた靠れ壁の人々の姿はハッキリしなかった。しかし、向うは、もう気がついたらしく、西洋人の訛ったアクセントで呼びかけるのが聞えた。

「イチロ、イチロ」

「イチロ」

息子の名を呼びかけるそれらは女の声もあるし、男の声もあった。クックという忍び笑いを入れて囁くように呼ぶ声は、揶揄い交りではあるが、決して悪意のあるものではなかった。

「まあ、誰」

かの女は首を低めて、むす子の肩からネオンの陰を覗き込んだ。むす子はそれに答えないで吃った。

「ああ、あいつ等が占領しているのか、だいぶ豊かと見えるな」

そして、声のする噴水のかげの隅に向って、のびのびした挨拶の手を挙げていった。

「子供等よ、騒ぐでないぞ、森の菌霊が臼搗くときぞ」

むす子は、おかしさが口の端から洩れるのをそのまま、子供等に対する家長らしい厳しい作り声をあっさり唇に偽装して、相手の群に発音し終ると、くるりと元の方向に踏み直って歩き出した。