Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はは

母

芥川 竜之介

Lisez 母 (はは) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 551 caractères · 18 écrans

Aozora Bunko

すると敏子はどうしたのか、突然蒼白い顔になった。その上拗ねた子供のように、睫毛の長い眼を伏せると、別に何と云う事もなしに、桃色の手紙を破り出した。男はちょいと苦い顔をした。が、気まずさを押しのけるためか、急にまた快活に話し続けた。

「だがまあ、こうしていられるのは、とにかく仕合せには違いないね。上海にいた時には弱ったからな。病院にいれば気ばかりあせるし、いなければまた心配するし、――」

男はふと口を噤んだ。敏子は足もとに眼をやったなり、影になった頬の上に、いつか涙を光らせている。しかし男は当惑そうに、短い口髭を引張ったきり、何ともその事は云わなかった。

「あなた。」

息苦しい沈黙の続いた後、こう云う声が聞えた時も、敏子はまだ夫の前に、色の悪い顔を背けていた。

「何だい?」

「私は、――私は悪いんでしょうか! あの赤さんのなくなったのが、――」

敏子は急に夫の顔へ、妙に熱のある眼を注いだ。

「なくなったのが嬉しいんです。御気の毒だとは思うんですけれども、――それでも私は嬉しいんです。嬉しくっては悪いんでしょうか? 悪いんでしょうか? あなた。」

敏子の声には今までにない、荒々しい力がこもっている。