Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こおりぐらのにかい
氷蔵の二階
宮本 百合子
Lisez 氷蔵の二階 (こおりぐらのにかい) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 201 caractères · 37 écrans
一頻り吹いて静かになった。間を置き、今度は、二声ずつに区切って鋭くヒューヒューと鳴った。
房は思わず志野の顔を見た。志野はまるでうんざりした表情だ。彼女は、何か云おうとする房を、いそいで眼で制した。手招きをして、房の頭を運ばせ、耳に囁いた。
「一寸戸をあけて見て来てくれない?」
せき立てるように、また階子口で口笛が鳴った。志野は立ちかねている房を、拝む真似をした。指の先を擦り合わせて。
房は、さっと内から戸をあけ、五燭の蠅の糞のこびりついた電燈の光で、廊下を見た。男が戸の方を向いて立っていた。が彼女を見ると、急に外方(そっぽ)を向き、別な間借人の出て来るのを今一寸待ち合わせているという風に、呑気らしく、窓框(まどかまち)に靠(もた)れて脚をぶらぶらさせた。
四
時候がよくなったせいか、志野はよく勤めの帰途どこかへ廻った。夕飯をしまってから、更めて出なおすこともある。
「お房さん、あなたも行って見ない? 矢張り元局にいた人で、そりゃ面白い人よ」
「――私はよすわ」
「じゃそこいら辺までつき合わない?」
遅くかえったりした時、志野は何か気がかりな風で室を見廻しながら、房に訊いた。