Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
「ちんもく」のはなし
「沈黙」の話
豊島 与志雄
Lisez 「沈黙」の話 (「ちんもく」のはなし) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 184 caractères · 13 écrans
印度の奥、ネパール地方のヒマラヤ山間の僻地に、洞窟内に祭られてる秘仏がある。人里離れた場所ではあるが、屡々若い男女の参詣者があり、往々、年老いた善男善女の参詣者まであって、鉄柵でふさがれてる洞窟の前に跪拝し、傍の小堂から守札を頂いてゆく。
それが、仏にしては珍らしい、恋愛の守護者であり、而も結縁のそれではなくて、情熱のそれである。そして更に不思議なのは、洞窟内の仏体が、黒檀の箱に納めた二個のミイラである。
伝説は言う。――
古昔、この洞窟内に、一人の老僧が行い澄していた。数里距った村里に、天女にまごう処女がいた。或る日或る時、老僧はその処女を見た。爾来、煩悩の迷い逐えども去らず、老僧の魂は禽獣となって、遂にその娘を誘拐し、二人して洞窟内に蟄居した。
昼となく夜となく、老僧は娘をかき口説いた。娘は頑として応じない。然しさすがは、カーマ・スートラを所有する印度のことだ。手荒な蛮行や、猥らな仕業は、微塵もない。その代りに、不可思議の情熱の生活が初った。
二人は洞窟から一歩も外に出ない。勿論飲食さえもしない。娘は岩壁を背にして、身動きもせずに端坐している。